iDeCoの受け取り方完全ガイド。一時金と年金、どっちが税金で得か計算した

iDeCo受け取りガイド アイキャッチ画像
この記事でわかること
  • iDeCoの受け取り方は3パターンある(一時金・年金・併用)
  • 退職所得控除の計算方法(勤続年数ごとの早見表つき)
  • 公的年金等控除の仕組みと年間受取額への影響
  • 勤続20年・30年のケース別税額シミュレーション
  • 2025年税制改正「10年ルール」が何を変えたのか
  • 今から考えておくべき出口戦略の考え方

iDeCoって、積み立てている間は「節税になる」ってよく言われますよね。でも受け取り方を間違えると、税金で大きく持っていかれる可能性がある。

自分、FP2級の勉強でiDeCoの受取税制を計算したとき「これ、知ってるかどうかで数十万円変わる話だ」と気づいて、ちょっと怖くなった記憶があります。仕組みが複雑なのに、意外と誰も丁寧に教えてくれない。

この記事では、受け取り方の選択肢・退職所得控除の計算・ケース別シミュレーション・2025年税制改正の影響まで、受け取り時の税金をできるだけ少なくするための考え方を整理します。

関連記事

※本記事は情報提供を目的としており、特定の受取方法を推奨するものではありません。税金の計算は個人の状況により異なるため、詳しくは税理士・FPにご相談ください。


目次

iDeCoの受け取り方は3パターン

iDeCoは60歳以降(加入期間が10年未満の場合は最大65歳から)に受け取れます。受け取り方には3つのパターンがあります。

受け取り方 概要 税制の区分
一時金(退職金形式) 一括で受け取る 退職所得として課税(退職所得控除が使える)
年金形式 5〜20年で分割して受け取る 雑所得として課税(公的年金等控除が使える)
併用(一時金+年金) 一部を一括、残りを分割 それぞれの税制が適用

(出典: 国民年金基金連合会「iDeCo公式サイト」2026年3月時点)

3パターンありますが、税制上のメリットが最も大きいのは「一時金(退職所得)」形式です。理由は、退職所得控除という強力な非課税枠が使えるから。ただし会社の退職金との兼ね合いで最適解が変わるため、「一概に一時金がいい」とは言い切れません。


退職所得控除の計算方法

退職所得控除は「どれだけ長く働いたか(勤続年数)」で計算します。iDeCoの場合は「掛金拠出期間」が勤続年数に相当します。

退職所得控除の計算式:

  • 勤続年数20年以下: 40万円 × 勤続年数(最低80万円)
  • 勤続年数20年超: 800万円 + 70万円 × (勤続年数 – 20年)

(出典: 国税庁「退職金と税」2026年3月時点)

早見表(iDeCoの掛金拠出年数別):

拠出年数 退職所得控除額
10年 400万円
15年 600万円
20年 800万円
25年 1,150万円
30年 1,500万円
35年 1,850万円

退職所得の課税対象額 = (受取額 – 退職所得控除額) × 1/2

この「×1/2」が退職所得の大きな優遇ポイントです。さらに退職所得控除内に収まれば税金はゼロ。FP2級の試験でこの計算を初めてやったとき、「退職金ってこんなに優遇されてるのか」と驚いた記憶があります。


年金形式の場合は公的年金等控除が使える

一方、年金形式で受け取る場合は公的年金等控除が適用されます。国民年金・厚生年金と合算して控除額が計算される仕組みです。

65歳以上の公的年金等控除(年間受取額別):

公的年金等の受取額 控除額
110万円以下 110万円(全額非課税)
110万〜330万円 収入×25%+27.5万円
330万〜410万円 収入×25%+27.5万円
410万〜770万円 収入×15%+68.5万円
770万〜1,000万円 収入×5%+145.5万円

(出典: 国税庁「公的年金等の課税関係」2026年3月時点)

国民年金・厚生年金だけで年間110万円を超える人は、iDeCoを年金形式で受け取ると控除枠を超えた分が課税対象になる点に注意が必要です。


ケース別シミュレーション

ここでは2パターンのケースで税額を試算してみます。あくまで概算ですが、「どれくらいの差があるか」のイメージとして参考にしてください。

ケースA: 勤続20年・iDeCo受取見込み500万円

  • 退職所得控除(20年): 800万円
  • 課税対象: (500万円 – 800万円) × 1/2 = 0円(全額非課税)

iDeCo受取額が800万円以下であれば、勤続20年なら一時金での受け取りで税金がゼロになる計算です。

ケースB: 勤続30年・iDeCo受取見込み1,500万円

  • 退職所得控除(30年): 1,500万円
  • 課税対象: (1,500万円 – 1,500万円) × 1/2 = 0円(全額非課税)

こちらも30年拠出でちょうど控除内に収まる例です。実際には会社の退職金との調整が必要なため、単純にこの計算だけで完結しない点に注意してください。

退職金との同時受け取りが問題になる場合

会社の退職金とiDeCo一時金を「同じ年」に受け取ると、退職所得控除を合算して計算します。退職金が大きい場合、iDeCoの受取が控除枠を超えて課税対象になる可能性があります。そのため、タイミングをずらす戦略が重要です。


2025年税制改正「10年ルール」が変えたこと

2026年(令和7年)以降の受け取りから、「10年ルール」が適用されるようになりました。これはiDeCoの出口戦略に大きく影響する改正です。

(出典: freee「【2026年施行】退職所得控除が見直し!5年ルールが10年に?」/ 国税庁 令和7年度税制改正)

改正前(5年ルール): iDeCo一時金を受け取った後、5年以上あけて会社退職金を受け取れば、それぞれに退職所得控除が適用された。

改正後(10年ルール): iDeCo一時金を受け取った後、10年以内に会社退職金を受け取ると、退職所得控除の計算に重複調整が入る。

状況 ルール
iDeCoを先に受け取る場合 退職金まで10年以上あける必要がある
退職金を先に受け取る場合 iDeCo一時金まで19年以上あける必要がある

たとえば60歳でiDeCoを一時金で受け取り、65歳で退職金を受け取ると、間が5年しかないため10年ルールに引っかかります。この場合、退職金への退職所得控除が一部削られる可能性があります。

対処策の一例:

  • 退職金が小さい、または退職金がない人はiDeCo一時金を先に受け取るのが有利
  • 大企業勤務で退職金が大きい人は、先に退職金を受け取り、iDeCoは年金形式か、退職金受け取りから20年近く後に一時金で受け取る計画を立てる

FP2級の勉強でiDeCoの出口を習ったとき「5年あければOK」と覚えた記憶があるんですが、今は10年に変わっています。古い情報を信じていると損をするので、改正後の計算で改めて確認しておく価値があります。


iDeCo口座を開設するなら

確定拠出年金の運用を見直すなら、iDeCoの併用も検討してみてください。SBI証券のiDeCoは運営管理手数料が無料で、低コストのインデックスファンドが揃っています。楽天証券のiDeCoも同様に手数料無料で、楽天ポイントユーザーには使いやすい設計です。

Point: iDeCoの受取方法は「一時金」「年金」「併用」の3パターン。退職所得控除と公的年金等控除の使い分けがカギです。

注意: 退職金とiDeCo一時金を同じ年に受け取ると、退職所得控除の枠を食い合う可能性があります。受取時期をずらす戦略も検討してください。

数字で確認: 勤続30年の退職所得控除は1,500万円。iDeCo加入20年の控除は800万円。併用時は合算されるため、受取順序で手取りが変わります。

まずは公式サイトで資料請求から始めてみてください。申し込み自体は10分程度で完了します。

まとめ

  • iDeCoの受け取り方は一時金・年金・併用の3種類。税制優遇が強いのは一時金(退職所得控除)
  • 退職所得控除は勤続年数に比例して大きくなる。20年で800万円、30年で1,500万円
  • 2026年からの「10年ルール」で、iDeCo一時金と会社退職金の受け取り順・タイミングが重要になった

まずは自分のiDeCoの拠出年数と会社の退職金規程を確認するところから始めてください。どちらを先に受け取るかで手取りが大きく変わる可能性があります。

詳しくは会社のHR部門や、iDeCo運営機関のシミュレーターで試算してみるのが一番です。

iDeCoの基本的な仕組みについてはこちら → iDeCoとは何か、節税メリットの仕組み


*本記事の情報は2026年3月時点のものです。税制は変更される場合があります。具体的な税額については税理士・ファイナンシャルプランナーにご相談ください。*

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)。証券外務員一種 取得準備中。経済学部卒・27歳。新卒でファイナンス関連の業務に就き、お金の仕組みを実務で学びながら、並行してFP2級を取得。投資歴は2022年から4年。インデックスファンド・米国個別株・一部暗号資産を運用中。NISAは成長投資枠・つみたて投資枠をフル活用している。

「投資って怖くない?」という疑問を出発点にした人間として、同じ気持ちを持つ人に向けて書いています。資格や実務で得た知識を「難しいまま伝えない」ことと、「リスクを正直に書く」ことが自分のスタンスです。

目次