「マッチング拠出」って聞いたことありますか。自分は会社に入って2年目まで存在すら知りませんでした。
FP2級の勉強中に「確定拠出年金の加入者掛金」という項目が出てきて、「え、自分でも掛金を追加できるの?しかも全額所得控除?」と驚いた記憶があります。調べてみたら、自分の会社もマッチング拠出に対応していた。知らなかっただけで、使える制度が目の前にあったんです。
この記事では、マッチング拠出の仕組みから節税効果の試算、制度改正の動向、申し込み手順まで整理しました。企業型DCに加入しているなら一度チェックしてみてください。
✅ この記事でわかること
- マッチング拠出の基本的な仕組み(会社の掛金に自分で上乗せ+全額所得控除)
- 年収400〜700万円の節税シミュレーション(月1万・2万円の場合)
- 制度改正による上限撤廃の影響と活用戦略
- マッチング拠出 vs iDeCoの選び方判断基準
- 会社への申し込み手順と転職時の取り扱い
マッチング拠出って何?会社の掛金に自分で上乗せする仕組み
🏛️ 公式制度データ
厚生労働省 — 企業型DC マッチング拠出
会社の拠出額と同額まで従業員が追加拠出可能(限度額の範囲内)。2026年4月の法改正により、事業主掛金が拠出限度額の1/2超でもマッチング拠出可能に。全額所得控除対象。
出典:厚生労働省 mhlw.go.jp
企業型確定拠出年金(企業型DC)では、会社が毎月掛金を出してくれます。マッチング拠出は、その会社の掛金に「自分のお金を上乗せ」できる制度です。ざっくり言うと、「会社が出してくれる年金のお金に、自分の給料から追加で積み立てられる仕組み」です。
ポイントは、自分が出した掛金が全額所得控除になること。所得税と住民税が減る仕組みなので、同じ金額を普通の投資に回すよりも税制上かなり有利です(出典:国税庁「小規模企業共済等掛金控除」)。
📊 マッチング拠出の税制メリット
掛金の全額が所得控除
NISAは運用益が非課税、マッチング拠出は掛金そのものが控除対象。「入口」で節税できる制度です
自分がFP2級の教科書でこの制度を知ったとき、「なんで誰も教えてくれなかったんだ」と思いました。会社の説明会では「確定拠出年金に加入します」とは言われたけど、マッチング拠出のことは一言も触れられていなかったんですよね。
マッチング拠出の現行ルール
| ルール | 内容 |
|---|---|
| 上限① | 加入者掛金は事業主掛金の額以下 |
| 上限② | 事業主掛金+加入者掛金の合計が月額55,000円以下(他の企業年金がない場合) |
| 税制優遇 | 加入者掛金は全額が小規模企業共済等掛金控除の対象 |
| 引き出し | 原則60歳まで引き出し不可 |
(出典:厚生労働省「確定拠出年金制度の概要」)
💡 ポイント
「事業主掛金以下」というルールは、たとえば会社の掛金が月1万円なら自分で出せるのも月1万円まで、という意味です。この制限が今後の法改正で撤廃される予定なので、現在は上限が低くても将来的に拡大の余地があります。
⚠️ 注意
マッチング拠出で積み立てたお金は、原則60歳まで引き出せません。住宅購入・教育費・転職時の生活費など、まとまった現金が必要になっても使えないお金です。「60歳まで絶対に手を付けない前提のお金」だけを拠出してください。生活防衛資金(生活費の3〜6ヶ月分)や近い将来使うお金はNISAや預金で確保しておくのが安全です。
節税効果をシミュレーションしてみた
「全額所得控除」って言われてもピンとこないですよね。具体的にいくら節税できるのか計算してみます。
年収500万円・マッチング拠出月1万円の場合
- 年間の加入者掛金:12万円
- 所得税率:10%(課税所得195万〜330万円の場合。出典:国税庁「所得税の税率」)
- 住民税率:10%(一律)
節税額 = 12万円 ×(10% + 10%)= 年間24,000円
📊 年収500万円・月1万円拠出の節税効果
年間24,000円の節税
30年間続けると節税だけで約72万円。掛金の運用益(非課税)は別途加算されます
自分がこの計算をしたとき、「え、やらない意味がわからない」と思いました。証券外務員の試験で「税制優遇のある口座を優先的に使え」と習ったばかりだったので、なおさらです。
年収別の節税効果目安
| 年収 | 所得税率目安 | 月1万円の年間節税額 | 月2万円の年間節税額 |
|---|---|---|---|
| 400万円 | 10% | 約24,000円 | 約48,000円 |
| 500万円 | 10% | 約24,000円 | 約48,000円 |
| 700万円 | 20% | 約36,000円 | 約72,000円 |
(出典:国税庁「所得税の税率」をもとに試算。住民税10%を含む。実際の節税額は各種控除・扶養状況により異なります)
💡 ポイント
年収が高いほど所得税率が上がるので、節税効果も大きくなります。年収700万円で月2万円のマッチング拠出をすると、年間72,000円の節税。10年で72万円です。NISAの「運用益非課税」とは別軸の節税なので、併用がベストです。
制度改正で何が変わる?上限撤廃の影響
年金制度改正法により、マッチング拠出の大きなルール変更が予定されています。
これまで、加入者掛金は「事業主掛金の額を超えられない」という制限がありました。たとえば会社の掛金が月1万円なら、自分で追加できるのも月1万円まで。この制限が撤廃される方向です(出典:厚生労働省「年金制度改正法の概要」。施行日は法改正のスケジュールに依存するため、勤務先の運営管理機関に最新情報をご確認ください)。
| 項目 | 現行ルール | 改正後 |
|---|---|---|
| 加入者掛金の上限 | 事業主掛金以下 | 制限撤廃 |
| 合計上限 | 月55,000円 | 月55,000円(将来的に月62,000円へ引き上げ予定) |
| 具体例(会社掛金1万円の場合) | 自分の拠出は月1万円まで | 自分の拠出は月45,000円まで |
📊 改正後の拠出可能額(会社掛金1万円の場合)
月1万円 → 月45,000円に拡大
年間拠出額は12万円から54万円へ。所得税率20%なら年間節税額が24,000円→162,000円に
これはかなり大きい変更です。「うちの会社は掛金が少ないからマッチング拠出の意味がない」と思っていた人にとって、状況が一変します。
マッチング拠出とiDeCo、どっちを選ぶべき?
企業型DCに加入している人は、マッチング拠出とiDeCoのどちらかを選ぶ必要があります。2022年10月の法改正で企業型DC加入者もiDeCoに加入できるようになりましたが、マッチング拠出を利用している場合はiDeCoとの併用はできません(出典:厚生労働省「iDeCoの概要」)。
| 比較項目 | マッチング拠出 | iDeCo |
|---|---|---|
| 口座管理手数料 | なし(会社負担) | 年間約2,000〜6,000円(金融機関により異なる) |
| 拠出上限(改正後) | 月55,000円−事業主掛金 | 月20,000円(企業型DC加入者) |
| 運用商品の選択肢 | 会社のラインナップに限定 | 自分で金融機関・商品を選べる |
| 手続きの手間 | 会社に申請するだけ | 金融機関を選んで自分で開設 |
| 年末調整 | 自動(給与天引き) | 証明書の提出が必要 |
| 転職時 | 転職先の企業型DC有無に依存 | ポータビリティが高い |
💡 ポイント
判断基準はシンプルです。「会社のラインナップに全世界株式や先進国株式のインデックスファンドがあるか?」を確認してください。あるならマッチング拠出のほうが手数料ゼロ・手続きゼロで有利。なければiDeCoで自分で良い商品を選ぶ価値があります。
自分の場合は、会社のラインナップに全世界株式インデックスがあったので、マッチング拠出にしました。手続きが圧倒的にラクだったのも決め手です。
iDeCoで口座を選ぶとき、自分が一番気にするのは「口座管理手数料」です。松井証券のiDeCoは口座管理手数料が0円(国民年金基金連合会・信託銀行への法定費用のみ)。商品ラインナップはインデックスファンド中心で選びやすく、老舗証券会社ならではのサポートも整っています。
申し込みに必要なもの・手順
マッチング拠出の申し込みは、基本的に会社の人事部門(または総務部門)を通じて行います。
必要なもの
- マッチング拠出の申込書(会社から入手)
- 希望する掛金額の決定
- 銀行口座情報(給与天引きの場合は不要なことが多い)
手順
- ステップ1: 人事部門にマッチング拠出を始めたいと伝える。まず会社が制度を導入しているか確認
- ステップ2: 申込書を記入。掛金額(1,000円単位で設定できることが多い)を決めて提出
- ステップ3: 翌月以降の給与から天引き開始。給与明細で「確定拠出年金加入者掛金」として控除されているか確認
- ステップ4: 年末調整は自動。マッチング拠出は給与天引きなので、年末調整の際に別途手続きは不要
掛金額の変更は年1回できるのが一般的です(出典:企業型DCの規約による。勤務先の運営管理機関にご確認ください)。
自分が申し込んだときは、人事の人に「マッチング拠出やりたいんですけど」と言ったら、翌日に申込書をメールで送ってくれました。記入は5分もかかりません。
よくある疑問をまとめて解決
転職したらマッチング拠出はどうなる?
転職先に企業型DCがあれば、資産ごと移管(ポータビリティ)できます。マッチング拠出の制度があるかどうかは転職先によります。
転職先に企業型DCがない場合は、iDeCoに移管するのが一般的です。移管の手続きには退職後6ヶ月以内という期限があります。期限を過ぎると国民年金基金連合会に自動移換され、手数料が差し引かれるので注意してください(出典:国民年金基金連合会「自動移換」)。
⚠️ 注意
退職後6ヶ月以内に移管手続きをしないと「自動移換」されます。自動移換されると、運用がストップした状態で管理手数料だけ引かれ続けます。転職・退職が決まったら、移管先の選定を早めに進めてください。
60歳まで引き出せないのが不安
これは確定拠出年金全体のルールです。マッチング拠出に限った話ではありません。
自分の考えとしては、「60歳まで使わないお金」をマッチング拠出に回して、「いつでも使えるお金」はNISAで運用する。この2段構えが無理のないやり方だと思っています。
掛金はいくらに設定すべき?
生活費に影響しない範囲で、できるだけ多く。生活防衛資金(生活費の3〜6ヶ月分)を確保したうえで、余裕資金から回すのが基本です。
まずは月5,000円からでも始めてみて、余裕が出てきたら増やすのが安全です。
📝 自分が実際に思うこと
マッチング拠出は「やらない理由を探すほうが難しい」制度だと自分は思っています。ただ、60歳まで引き出せないロックが精神的にキツいと感じる人がいるのもわかります。自分自身は「どうせ老後まで使わないお金」と割り切って最大額を入れていますが、20代で住宅購入や転職を考えている人は無理しないでいい。まずNISAを優先して、余裕ができたらマッチング拠出を上乗せする順番でも十分です。大事なのは「制度の存在を知ったうえで、自分で選択する」こと。知らないまま何年も放置しているのが一番もったいないです。
⚠️ 投資に関する免責事項
この記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品・サービスへの加入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任のもと、最新の公式情報をご確認のうえ行ってください。
まとめ:マッチング拠出は「申し込まない理由がない」制度
📌 この記事のポイント
- マッチング拠出は会社の掛金に自分で上乗せできて、全額所得控除になる制度
- 年収500万円・月1万円拠出で年間24,000円の節税。年収700万円なら36,000円
- 制度改正で上限撤廃予定。会社掛金が少なくても月45,000円まで積み立てられるように
- iDeCoより手数料が安く手続きもシンプル。ただし60歳まで引き出し不可のリスクあり
- まず人事に「マッチング拠出に対応していますか?」と聞くことから始める
確定拠出年金の基本をおさらいしたい人は、確定拠出年金の全体像をまとめた記事を先に読んでおくと理解が深まります。
運用商品を元本確保型のままにしている人は、運用商品の選び方も合わせてどうぞ。マッチング拠出で掛金を増やしても、運用先が定期預金だったらもったいないです。
まず今日やることは1つ。会社の人事部門に「うちの確定拠出年金、マッチング拠出に対応してますか?」と聞くこと。対応していたら、申込書をもらって記入するだけです。
iDeCoで口座を選ぶとき、自分が一番気にするのは「口座管理手数料」です。松井証券のiDeCoは口座管理手数料が0円(国民年金基金連合会・信託銀行への法定費用のみ)。商品ラインナップはインデックスファンド中心で選びやすく、老舗証券会社ならではのサポートも整っています。
※この記事の情報は2026年3月時点のものです。制度改正の施行日やルール詳細は、勤務先の人事部門・運営管理機関・厚生労働省の公式情報でご確認ください。掛金の上限や税制は個人の状況により異なります。確定拠出年金は原則60歳まで引き出しできません。投資にはリスクがあり、元本割れの可能性があります。

