2026年度の税制改正大綱で、NISAに3つの変更が決まりました。
「改正って聞いたけど、結局なにが変わるの?」という疑問はもっともです。
税制改正大綱は読もうとすると専門用語の壁にぶつかるし、ニュースも「改正」「閣議決定」という見出しだけで中身が見えにくい。
2025年12月26日に閣議決定された令和8年度税制改正大綱に、NISAに関わる変更が3点盛り込まれました。
変更点は、こどもNISA新設(2027年1月開始予定)、つみたて投資枠の対象商品拡充、非課税保有限度額の当年中復活の3つです。
現行のNISA制度の枠組み(つみたて投資枠・成長投資枠の2本柱、生涯非課税上限1,800万円)は変わりません。新しい3点だけ押さえておけば十分です。
- 2026年度税制改正でNISAに加わる3つの変更点の全体像
- こどもNISA(2027年1月開始予定)の対象年齢・投資枠・引き出し条件
- 廃止されたジュニアNISAとこどもNISAの違い
- つみたて投資枠に債券型投信が加わる意味と影響を受ける人
- 非課税保有限度額の「当年中復活」の仕組みと注意点
- こどもNISAで月5万円を積み立てた場合のシミュレーション
- 改正をふまえて今からやっておくべき準備
2026年度のNISA改正、結局なにが変わるの?
変更点は3つだけです。既存の制度に3つの機能が追加されるイメージで、制度が根本から変わるわけではありません。
| 変更点 | 内容 | 施行時期 |
|---|---|---|
| こどもNISA新設 | 0〜17歳対象の未成年向けNISA | 2027年1月予定 |
| つみたて枠の商品拡充 | 債券比率50%超の投信も対象に | 2026年中予定 |
| 非課税保有限度額の当年中復活 | 売却した生涯枠が翌年ではなく当年中に復活 | 2026年中予定 |
(出典: 令和8年度税制改正大綱(2025年12月26日閣議決定))

出典: 金融庁 NISA特設サイト
「年間360万円の総投資枠」「口座名義は本人」「損益通算できない」といった基本ルールはそのままです。

こどもNISAって何?0歳から投資口座を持てるようになった
今回の改正で最もインパクトが大きいのが、未成年向けNISAの新設です。
現行のNISAは18歳以上でないと口座を開設できません。
2023年末で新規投資が終了したジュニアNISAの後継として設計されたのが、今回の「こどもNISA」(正式名称: 未成年者特定累積投資勘定)です。
開始は2027年1月を予定しており、制度の詳細は2026年中に政令・省令で確定されます。
こどもNISAの基本スペック
| 項目 | こどもNISA | 現行つみたて投資枠(参考) |
|---|---|---|
| 対象年齢 | 0〜17歳(未成年) | 18歳以上 |
| 年間投資枠 | 60万円 | 120万円 |
| 非課税上限 | 600万円(累計) | 1,200万円(成長枠と合算1,800万円) |
| 口座管理 | 親権者が管理 | 本人 |
| 引き出し | 12歳以降、子ども本人の同意+一定の事由あり | 制限なし |
| 非課税期間 | 無期限 | 無期限 |
(出典: 日本経済新聞 2025年12月、NRI 木内登英コラム 2025年12月15日)
ジュニアNISAとの違い: 引き出し制限が大幅に緩和された
ジュニアNISAが2023年末に新規投資を終了した理由のひとつが「18歳まで原則引き出せない」という使い勝手の悪さでした。
教育費は中学・高校・大学と節目ごとに発生するのに、18歳まで引き出せない設計では実用性に乏しい。この声が多かったわけです。
こどもNISAは12歳以降の条件付き引き出しを認めることで、中学入学・高校入学のタイミングでの活用が現実的になります。
FP2級の学習範囲でも「教育費の積み立ては引き出し時期から逆算して設計する」という考え方が出てきますが、今回の制度設計はまさにその考え方に沿っています。
- 12歳以降で条件付き引き出し可
- 非課税期間は無期限
- つみたて投資枠で運用
- 18歳まで原則引き出せなかった
- 非課税期間は5年(ロールオーバー可)
- 利用率が低迷し廃止に
月5万円を積み立てたら、10年後はどのくらいになる?
月5万円(年60万円の上限いっぱい)を積み立て続けた場合のイメージです。
| 積立年数 | 元本(累計) | 想定運用額(年利3%想定) |
|---|---|---|
| 5年 | 300万円 | 約323万円 |
| 10年 | 600万円(上限に到達) | 約699万円 |
※あくまで参考値です。運用成績は保証されません。年利3%は控えめな想定値であり、過去のインデックス運用実績(S&P500の直近30年平均は年7〜10%程度)と比べると保守的な数字です。
実際の試算は金融庁つみたてシミュレーターで試してみてください。
非課税上限600万円に達した後も運用自体は継続可能です。
0歳から積み立てを開始すれば、大学進学費用(18歳時点)に向けて最も長い運用期間を確保できます。ただし投資である以上、元本割れのリスクはゼロではありません。教育費の全額を投資に回すのではなく、預貯金との併用が現実的な設計になります。

つみたて投資枠で買える商品が増えた?債券型も選べるようになる
2点目の変更は、つみたて投資枠(年120万円)で購入できる商品の範囲拡大です。
現行制度では、つみたて投資枠の対象商品は「株式に投資する長期・積立・分散に適した投資信託」に限定されていました。
全世界株やS&P500連動のインデックスファンドが代表例です。
今回の改正で、運用資産に株式が含まれていれば、債券比率が50%超の投信もつみたて投資枠の対象になります。
金利上昇によって債券投資へのニーズが高まったことを踏まえた措置です(出典: NRI 木内登英コラム 2025年12月15日)。
商品ラインナップはどう変わる?
| 対象商品 | 現行 | 改正後 |
|---|---|---|
| 株式中心のインデックスファンド | ✅ 購入可 | ✅ 変更なし |
| バランス型(株式+債券) | ✅ 一部購入可 | ✅ 変更なし |
| 債券比率50%超の投信(株式を含む) | ❌ 対象外 | ✅ 購入可能に |
この変更で影響を受けるのは誰か
全世界株やS&P500を積み立てているだけなら、この変更の影響はほぼありません。
影響が大きいのは、株式100%のファンドに不安を感じている人です。
退職が近い50〜60代、あるいは値動きが怖くて投資に踏み切れていない人にとって、債券型をつみたて投資枠で選べるようになるのは実質的な改善です。
証券外務員の学習では「年齢が上がるほど安定資産(債券)比率を高めるグライドパス運用(年齢に応じて資産配分を徐々に安定寄りに変える運用方法)」という考え方が登場します。
これまでNISAのつみたて枠ではその考え方を実践しにくかった。今回の改正で選択肢が広がった形です。
「当年中に枠が復活する」とは?仕組みと注意点を整理
3点目の変更は少しわかりにくいので、仕組みから整理します。
復活するのは「生涯枠」であって「年間投資枠」ではない
まず前提の確認です。NISAには2種類の枠があります。
年間投資枠(360万円/年): 1年間に投資できる上限。売却しても年間枠は復活しません。
非課税保有限度額(1,800万円): 生涯で非課税で保有できる元本の合計。売却するとその分の枠が復活します。
今回の改正で変わるのは「非課税保有限度額(1,800万円の生涯枠)」の復活タイミングです。年間投資枠360万円が当年中に復活するわけではありません。
現行と改正後で、枠の復活タイミングはどう変わる?
| 項目 | 現行 | 改正後 |
|---|---|---|
| 復活対象 | 非課税保有限度額(1,800万円) | 同左(変更なし) |
| 復活タイミング | 売却の翌年1月 | 売却した当年中も利用可 |
| 年内の再投資 | 不可(限度額到達時) | 可能に |
(出典: ミチシルベ「NISA改正とは?2024年と2026年の変更点」、令和8年度税制改正大綱)
どんな場面で役に立つのか
最もわかりやすい活用場面は、年内のリバランス(運用中に崩れた資産配分を元の設定に戻す作業)です。
たとえば生涯枠1,800万円に到達した人が、9月に株式ファンドの一部を売却してバランスを整えたいとき。
現行では復活した枠を使えるのは翌年1月以降でした。改正後は当年中に枠が復活するため、年度内で一連のポジション管理を完結できます。
日常的な積み立てだけを行っていて、まだ限度額に余裕がある場合は、この変更の恩恵を感じる機会はほぼありません。
改正をふまえて、今からやるべきことは?
子どもがいるなら: 2027年1月の制度開始に備える
こどもNISAは2027年1月の開始が予定されています。
現時点では各証券会社での口座開設手順は未公表のため、金融庁や証券会社の公式発表を待つ段階です。
今できるのは「0歳から始められる」という事実を前提に、教育資金の計画にこどもNISAをどう組み込むか考えておくことです。
預貯金だけで準備するのか、投資を併用するのか。ここを整理しておくと、制度開始時にスムーズに動けます。
つみたて投資枠を使っているなら: 今の積み立てはそのまま
現在積み立て中の商品には影響がありません。新たに債券型の投信が選択肢に加わる、という変更です。
株式100%のファンドに不安を感じていた場合は、2026年中に債券型の投信も対象に加わることを頭に入れておいてください。
ただし「債券型のほうが安全」と単純に考えるのは早計です。債券にも金利変動リスクがあり、株式ほどの長期リターンは期待しにくい側面もあります。
成長投資枠で積極運用しているなら: 枠復活の仕組みを知っておく
生涯枠1,800万円に到達済み、または到達が見えている人は、当年中の枠復活を頭に入れておくとリバランスの計画を立てやすくなります。
まだ限度額に余裕がある場合は、この改正は当面関係ありません。まずは年間360万円の枠を使い切ることに集中するほうが合理的です。

まとめ
- こどもNISA: 0〜17歳対象・年60万円・非課税上限600万円・12歳以降で条件付き引き出し。開始は2027年1月予定。子どもがいるなら制度開始に合わせて準備を
- つみたて枠の商品拡充: 債券比率50%超の投信も対象に。株式100%に不安がある人に選択肢が広がる。2026年中施行予定
- 非課税保有限度額の当年中復活: 生涯枠1,800万円に到達した人が年内に枠を再利用可能に。大半の人にとっては当面影響なし
3つの変更のうち、最も多くの人に関係するのはこどもNISAです。
証券会社の口座開設手順など具体的な動き方は、2026年後半に各社から発表されるはずです。金融庁のNISA特設サイトを定期的にチェックしておくのがおすすめです。
※本記事は2026年3月22日時点の情報に基づいています。制度の詳細は今後の政令・省令で変更される可能性があります。投資判断は自己責任でお願いします。
出典:
- 令和8年度税制改正大綱(2025年12月26日閣議決定)
- 金融庁「令和8年度税制改正について」(2025年12月26日)
- 日本経済新聞「NISAつみたて枠、18歳未満は600万円上限」
- NRI 木内登英「2026年度税制改正でNISAつみたて枠を18歳未満にも解禁へ」(2025年12月15日)
最終更新: 2026年3月22日

